【熊本地震】

ちょっと長い文章になりますが、是非読んでください。

災害時ペット捜索・救助「チームうーにゃん」は、熊本地震をきっかけに立ち上げました。熊本地震が起きて1週間後に、現地に向かいました。


また、避難所に入れてもらうことができなくて、困っている動物たちやその家族がたくさんいるのではないかと思ったからです。

現地につき、被災場所の状況確認をしながら、避難所を一つ一つ周りました。

ある避難所の責任者の言葉に耳を疑いました。


「うちは、みんな助け合っていて、問題は何も起きていない。最初に1人、犬を連れてきた人がいたから、すぐに出て行ってもらったんだよ。だから、非常にうまくいっている」


こう笑顔で話していた責任者、責任者の言葉に頷いていた人たちの顔が忘れられません。

せっかく家族の犬を連れて避難所に逃げてきたのに、入れてもらえずに出て行った人と犬は、いったいそのあと、どんな気持ちでどこに向かったのでしょう・・。

やっぱり、何にも変わっていないんだ、そう思いました。


それからは、ペットの受け入れをお願いしながら避難所をまわりました。もちろん、同じ家族としてどんなときでも一緒にいられる「ペット同室避難」のお願いしました。

ペットを受け入れている避難所があっても、人と動物が別々の場所でしか過ごせない避難所がほとんどでした。

そこでは飼い主と一緒にいられないこと、慣れない場所で知らない動物たちに囲まれながら過ごすストレスで、具合が悪くなったり、動物同士の争いがあったり、寂しくてずっと鳴いている・・など、様々な問題が起きていました。

動物が苦手な人との住みわけの工夫をし、人も動物も、家族と一緒にいられることが、様々な問題を起こさない一番の方法だと思います。


避難所以外にペットと一緒に避難している人たちを探しました。

ペットと暮らす人の多くは、車中泊をしていました。あとは倒壊の危険のある家の中で、ペットと一緒に暮らしていました。


避難所以外の場所にいる人たちには、支援物資は届きません。

私は、全国で応援してくださっている皆さんにお願いをし、動物たちの為の支援物資を募りました。

支援物資を募っても、私も車中泊で過ごしていたので受け取ることができません。当時、猫の捜索依頼を受けていたお花屋さんがありました。こんな大変な時に無理なお願いをして申し訳なかったのですが、支援物資の届け先としてご協力いただけないかお願いをしました。お花屋さんは快く引き受けてくださいました。

熊本で困っている動物たちやその家族のために、全国からたくさんの支援物資が届きました。

届いた支援物資の中に、私宛に手紙やおやつが入っていたり‥ほんとうにありがたかったです。



熊本地震の被害は、家屋の倒壊でした。

そのために、倒壊した家からペットが逃げてしまいました。

それを知ってから、私はペットの捜索活動もはじめました。

生きている子も亡くなってしまった子も、どちらも探していました。

飼い主さんから捜索依頼を受けて探したり、さまよっている動物たちを保護したりしました。

明かに人と暮らしていただろうことが分かる迷い犬、猫を保護しても、飼い主さんが見つからないことはたくさんありました。

見つからない理由は、飼い主さんが亡くなっている、情報が飼い主さんのところに届かない、自分の子と分かっても、住む家がないため名乗り出ない、などです。

そういう子たちは、動物病院で必要な検査をしてもらった後、保護主さんや里親さんを探したりしました。


震災から18日経ったある日、犬の捜索依頼の電話がありました。

全壊した建物の中から犬の声がする、というのです。

その犬の名前はジュン。ジュンは震災から18日もの間、生き埋めになっていたことになります。

その時、私は熊本で出会った動物のボランティアに来ていた人たち(その後、チームうーにゃんのメンバーになります)と一緒に、南阿蘇で活動中でしたが急いで引き返し、ジュンの家に向かいました。

飼い主さんと近所の方が不安そうな顔をして私たちを待っていました。

全壊したお家を見て私は茫然としました。入る隙間もないくらい全壊している家の中にどうやって入ればいいのか‥。しかも18日間も飲まず食わずで、ジュンは本当に無事でいるのだろうか‥。


その時、家の一番奥で、ジュンの顔がピョコンと上がったのです。それを見た途端、私の頭の中は絶対にジュンを助け出す!それしかありませんでした。そのためには、遠回りしてでもとにかく慎重に行動しなくてはいけないと思いました。

私を含めてボランティアメンバーは4人でした。

全壊した家の中に入れるのは一人だけだと判断し、私が入りました。残りの3人には、何かあったときにすぐに動けるようにそれぞれの場所で待機してもらいました。

窓から家の中に入り、倒れた木材、壁材には絶対に触れないように、またいだり隙間をくぐったりして、ジュンのところまで行きました。ジュンは誰かが来てくれるのを待っていたのでしょう。

私が両手を伸ばすと、私の胸に飛び込んできました。

ジュンを抱えたまま戻ることは不可能だったので、待機しているメンバー2人を呼び、途中まで入ってきてもらいました。

ジュンをバケツリレー式に渡し、無事に外に出すことができました。

18日もの間、生き埋めになっていたジュンが生きていたのは、ジュンのことを想い、誰も諦めなかったからだと思いました。

飼い主さんはジュンとはぐれてから、ジュンが生きていることを信じ、毎日全壊のお家にきてジュンの名前を呼んでいたそうです。諦めない気持ち。ジュンが私たちに教えてくれた大切なことです。この出来事は一生忘れられないでしょう。

心から、熊本に来てよかった、と思いました。



その後私は、災害時の動物レスキュー・チームうーにゃんを立ち上げ、約1年半熊本に通い、ボランティア活動をしました。

毎年、震災があった日になると、テレビも世の中も急に騒がしくなり、その日が過ぎると、ピタリと静かになります。

東日本大震災から10年、熊本地震から5年が経ちますが、私が訴え続けていることはまだ何も変わっていません。


行動を起こすことは、その場所が近いか遠いかではなく、心の距離だと思います。

5年経っても、10年経っても、私の心はまだずっと変わらない場所で叫び続けています。

私の行っている活動が早く終われる日が来るように、これからもしっかりと活動を続けていきたいと思います。


⭐︎チームうーにゃんホームページ

https://team-u-nyan.amebaownd.com/

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【うさ公式ホームページ】 創作家 「災害で消えた小さな命展」主催。 「災害時ペット捜索・救助チームうーにゃん」、「劇団Sol.星の花」代表。 この3つの活動を通して、命の大切さや思いやる気持ちを伝えていきます。

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